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ちからひと

皆様こんにちは。
㈱ケイ・オール：統括部長の坂巻と申します。
暦では秋ですがまだまだ非常に暑い日が続いております。
スポーツの秋といいますが、私はこんな中、絶対スポーツなんかしたくありません。

スポーツといえば、1990年2月の東京ドーム。
私は地元の友達とマイク・タイソン　VS　ジェームス・ダグラスの
ボクシング世界タイトルマッチを観に行ってました。

試合は世紀の番狂わせが起き、無敗のタイソンが王者から陥落したのですが
その帰り道のことです。

無敗王者の敗戦からか、天気は生憎の雨模様。
東京ドームから吐き出される観衆の人混みの中に私もいました。

突如、後ろから強烈な肘鉄を喰らうと同時に「どけどけ！！」との怒号。
振り返ると、今で言う「反社会的勢力」のお偉いさんが
取り巻きに傘を差し出させ、悠々と人混みを裂くように歩くのを見て
小僧の私は「東京は怖いとこだ」と思ったものです。

それから数分後、今度は後ろからどよめきが生じました。
どよめきと共に自然と空く人混みの道を、傘もささずに紋付袴の正装にて
申し訳ないと周りに頭を下げながら歩くその人は、時の大横綱「千代の富士」でした。
強さと威厳と気遣いが一緒になった、
その強烈なオーラに私も自然と道を開けたのでした。

それは数分前の方々が絶対に身につけられない、本当の強さを持った佇まいです。
当然、帰りの電車の話題はタイソンの敗戦よりも、
生で千代の富士を見た興奮に独占されました。

先日、元横綱千代の富士関が鬼籍に入られました。
私の親の世代は「巨人、大鵬、卵焼き」ですが
昭和49年生まれの私の世代ですと、横綱といえば千代の富士という方が非常に多いと思います。
豪快な取り口と多くの記録に裏打ちされた強さと凛々しさを兼ね備えた大横綱でしたね。

私の場合、勝った取り組みより、

連勝記録を大乃国に止められた取り組み

横綱昇進がかかっていた旭富士に敗れた取り組み

そして引退を決めた貴花田との取り組み

が思い起こされます。

負けた取り組みのほうが印象に残るほど強い横綱だったんだなと
改めて思った次第です。

謹んで、元横綱千代の富士関のご冥福をお祈り致します。